きょうだい支援について
きょうだい支援に関心を寄せ、このページを覗いて下さる方がいること、きょうだい支援の輪が広がるようで、とても心強く思います。
このページでは、「きょうだい支援」について、どのようなことが行われているのかを紹介します。
現在は、障がいや病気のあるきょうだいに関する支援の情報が主ですが、今後はさまざまな立場のきょうだい支援に関する情報を追加する予定です。
特別なことをしなくても、まずは、きょうだいを気にかけ、そばにいる、聴く、語りあう…そんなあたたかな日常の積み重ねが、きょうだいにとって大切な支えになるだろうと思います。
その上で、きょうだい向けのイベントやアクティビティを考えようとしている方に、このページが少しでも参考になればと思います。
実際のきょうだい支援
“きょうだい”という同じ立場の人と出会い、一緒に時間を過ごすことは、とても貴重なピアサポートの機会になります。しかし、意図的に企画し声をかけないと、きょうだい同士が知り合う場は非常に限られますので、きょうだいが集まって行うイベントやアクティビティには、大きな意味があります。同じ立場だからこそ、一人じゃない、どんな気持ちもあなたの大事な気持ち、あなたは大切な人・・・そんなことが自然に共有できるのではないでしょうか。
Activities
きょうだい支援アクティビティ
ここでは、実際に各地で行なわれているきょうだいのための具体的なアクティビティをいくつか紹介します。
思いっきり楽しむため、思いや悩みを共有するため、ほっと一息するため・・・
様々な目的で、きょうだいとの時間を企画する時のヒントになれば嬉しいです。
おもう
かんがえる
わかちあう
Feeling on a rope
【アクティビティの説明】1本のロープをピンと張り、「◯◯は好きですか?」「最近、きょうだいと過ごす中で困ったことはありましたか」と質問をし、自分の気持ちに該当するロープの位置(例:右端=ある・真ん中=時々ある・左端=ない)に触れてもらう。触れた位置に準じて、その理由を確認し、参加者で思いや経験を共有する。 【対象年齢】小学生~高校生 【活動のねらい】ロープを用いて自分の感情を表現し、日頃感じていることや対処法などを参加者で共有する。 【留意点】・はじめは、答えやすい一般的な質問(◯◯は好きですか?)などからはじめて、徐々に病気や障害のあるきょうだいに関する質問に移行し、参加しやすい雰囲気を作ること・ロープにタッチした後、それぞれ理由を尋ねていくが、言語化することが難しい参加者もいるため、無理には尋ねないなど参加者の状況に応じて対応を変えること 【行ってみての感想】小学生から高校生まで、あらゆる年齢に応じて自分の感情を表現しやすいアクティビティの1つであると感じています。質問によっては、話題が膨らむこともあり、きょうだいならではの思いや経験を共有することができます。 【紹介団体】きょうだい会SHAMS
かんがえる
わかちあう
僕だったらどうする?
【アクティビティの説明】トランプのようなカードにきょうだいが遭遇しそうなトラブル「電車の中で自分の弟が奇声を上げたら?」というような内容が書かれていて、自分の引いたカードのお題に答えるもの。 【対象年齢】小学生~高校生 【活動のねらい】普段自分たちが遭遇しそうなトラブルに対して他の人たちがどう考えているのかを知ることができる。 【留意点】きょうだいの話だけにならないように「フリー」のようなカードも準備する。 【行ってみての感想】自分のカードの時以外にも相づちが入ることもあった。1周してからは子どもたち自身にそのカードを作ってもらい、同じように取り組んでみた。自分の思っていることを間接的な形で聴くことができるというもの良い点だったと考えている。 【紹介団体】横浜きょうだいの会
まなぶ
病院スタンプラリー!
【アクティビティの説明】病院内の数か所にスタンプポイントを設置する。子どもたちは、各スタンプポイントに立ち寄って、スタンプを押してもらう。それぞれのポイントで、体験アクティビティがあると楽しい。(例:リハビリ室でリハビリ体験、CT検査室でベッドに乗ったり動かしたり、クイズをしたり等) 【対象年齢】3歳~大人まで 【活動のねらい】病院の様子を知り、体験することができる。各ポイントで、多職種のスタッフから歓迎される。 【留意点】院内で迷子にならないように、スタッフが付き添う。スタッフ全員がPHSなどを持って、子どもの現在位置の確認など連絡を取り合う。各ポイントのスタッフと事前に打ち合わせをする。検査室などが怖い子もいるため、無理はしないように配慮し、楽しい雰囲気作りを心がける。 【行ってみての感想】病院の様子が知れて、とても楽しそう。体を動かせるため、良い気分転換と発散の機会になっている。 【紹介者】新家・佐々木
かんがえる
まなぶ
わかちあう
きょうだいすごろく
【アクティビティの説明】きょうだいあるあるを参加者にふせんに書いてもらい、すごろくのコマのところにおいてもらう。すごろくと同じで、止まったコマのところのお題で話をする。ボランティアさんにも同様にふせんに書いてもらう。きょうだいではないボランティアさんには、一般的な(好きな食べ物)質問などを書いてもらう。 【対象年齢】3歳~高校生 【活動のねらい】・自分の思いを言葉にして伝える・他のきょうだいが思っていることを知る・自分の思いについて他のきょうだいがどう思っているか、どう対処してきたかを知る 【留意点】楽しく活動できることがメインなので、普通のすごろくのように(2つ戻る、4つ進む、あがり、振り出しに戻る)などがあってもおもしろい。発言を強制したり、だれが書いたふせんなのかをせんさくすることのないように配慮する。 【行ってみての感想】小学生低学年でもボランティアのフォローがあれば単にすごろくとしても楽しめる。中学生以上だと話が盛り上がることも 【紹介団体】横浜きょうだいの会
たのしむ
なまえビンゴ!
【アクティビティの説明】ビンゴシートに、きょうだいやその兄弟姉妹、参加スタッフの名前を書き入れて、ビンゴの準備をする。ビンゴシートに、デコレーションするのも楽しい。チーム戦にしても楽しい。ビンゴで名前が呼ばれたら、インタビューに応えてみんなの注目を浴びみんなから拍手される。ビンゴしたときのために景品などがあってもよい。 【対象年齢】3歳~大人まで 【活動のねらい】みんなからの注目と歓迎を感じる。チーム戦の場合は一体感を得ることができる。能力ではなく、その時の運にまかせて存分に楽しめる。 【留意点】参加きょうだいの名前は必ず呼ぶ。参加スタッフも楽しくインタビューに応える。インタビューのネタ(きょうだいの得意なこと、好きなこと等)を事前に調査しておいてもよい。 【行ってみての感想】いきいきとインタビューに答える様子が印象的。自分の名前やきょうだいの名前が呼ばれると、とても嬉しそう。わりと小さい子でも、大人と一緒に楽しめるアクティビティです。 【紹介者】新家・佐々木
かんがえる
まなぶ
わかちあう
ブラッビーおばさんへの手紙
【アクティビティの説明】障がいのある兄弟姉妹を持つ人からの相談のお手紙(架空のもの)をみんなで読み、その悩みにどう答えてあげるかを考えるアクティビティです。 【対象年齢】小学生低学年~大人まで 【活動のねらい】自分と似た環境にある人を助けられるようなアドバイスがあるとしたら、何を伝えるか、ということを考えてみることで、自分の持つ特別な経験が人の役に立つことがあるというのを知ることができます。また、いろいろなメンバーから意見を聞く中で、自分の日常に活かせるアドバイスが見つかる可能性があります。 【留意点】アドバイス案を否定しないルールや、逆に、こうじゃないとダメと決めつけないルールがある方が望ましいと思います。 【行ってみての感想】まだ小さいきょうだいさんでは、話し合い活動よりも遊びたい気持ちが強く、場を壊そうとする行動が見られました。ルールをあらかじめ共有するか、小学4年生以上など、相手の立場を十分に思いやることができる発達段階にあるメンバーのみで行うことも必要かもしれません。 【紹介団体】社会福祉法人ゆうゆう(児童発達支援・放課後等デイサービスamaririsu) 【備考】「きょうだい支援を広める会」のサイト「翻訳冊子」のページから購入申し込みができるSibshopsの冊子(きょうだい支援プロジェクト配布冊子第3版に載っています。
Overseas sibling support
海外の
きょうだい支援の紹介
日本でもきょうだい支援に取り組んでいる団体がいくつかありますが、海外にも同様にきょうだい支援に取り組んでいる団体があります。ここでは、そのうちのいくつかを紹介していきます。
アメリカ
The Sibling Support Project
Sibshop(シブショップ)というきょうだい児のための支援プログラムを開発したDonald・Meyerさんが創立者で、シブショップを全米に広めることを主目的に1990年に設立されました。シブショップとはシブリング(きょうだい)のためのワークショップという意味の造語です。もともとは8歳から13歳までの、障害児のきょうだいを対象にしていますが、もう少し幼い、あるいは年上の子どもたちにも応用することができます。また、病児のきょうだいを対象としたシブショップも行われています。基本が8歳から13歳なのは、子どもの発達段階から言ってこの年齢幅ならば、集中力や物事に対する理解力に大きな差がなく、どの子もプログラムを楽しめるからという理由からです。 最初のシブショップは1982年に行われ、現在はアメリカだけなく、カナダ、グアテマラ、コスタリカといった中米諸国、ニュージーランド、日本などにもあります。シブショップのファシリテーターになるためのトレーニングがきょうだい支援プロジェクトを講師として実施されており、日本では、2001年に最初のトレーニングが行われ、その後2005年、2008年、2019年と行われました。 シブショップには5つの目的があります。1 障害児(特別なニーズのある子ども)のきょうだいがリラックスした楽しい雰囲気の中で、同じ立場の仲間と出会う機会を提供する。2 障害児(特別なニーズのある子ども)のきょうだいによくある悩みや喜びを仲間と話し合う機会を、きょうだいに提供する。3 障害児(特別なニーズのある子ども)のきょうだいがよく経験する状況に仲間がどう対処しているかを知る機会を、きょうだいに提供する。4 障害(特別なニーズ)のある兄弟姉妹がいることで起こる様々なことについて知る機会を、きょうだいに提供する。5 障害児(特別なニーズのある子ども)のきょうだいによくある悩みや得がたい経験について理解を深める機会を、親や専門家に提供する。 日本のシブショップ認定団体は以下のとおりです。(五十音順)・明石市肢体不自由児者父母の会(兵庫)・あみーごクラブ(仙台)・うぇるしぶ(オンライン)・亀田Sibshops(千葉)・かるがも花々会(東京)・聞こえないきょうだいを持つSODAの会(全国)・きょうだい会Sirabe(群馬)・きょうだい会SHAMS(栃木)・京都こどもきょうだい会えるも(京都)・しぶたね(大阪)・横浜きょうだい会(神奈川) 詳細については、アメリカのきょうだい支援プロジェクト、日本のきょうだい支援を広める会のサイトをご覧ください。
オーストラリア
Siblings Australia
Siblings Australia は、1999 年にアデレードの Women's & Children's Hospital の心理医学科の Kate Strohm さんによって設立され、2003 年に独立した団体になりました。Kateさんがアメリカ滞在中にアメリカのきょうだい支援と出会ったことがきっかけです。 行っている事業は以下のとおりです。 ・SibWorks障害のある兄弟姉妹を持つ 8 歳から 12 歳の子どものためのピアサポートプログラムです。Kate Strohmさん が心理学者の Monique Nesa さんと協力して作成したこのプログラムは、心の健康とレジリエンスを高め、同じ経験をしている他の子どもとつながることで、きょうだいをサポートするように設計されています。15 年間、SibWorksは主にシブリング・オーストラリアと選ばれた少数の専門家によって運営されてきましたが、2022年に大幅な見直しと更新が行われました。そして、正式なファシリテーター・トレーニングが開始されました。 ・SibAware(専門家向け)きょうだい達が自分たちの特有の状況を理解してくれる組織を見つけ、つながりやすくするために作られた全国規模の認定プログラムです。また、この制度により、組織は、認知されていないあらゆる年齢のきょうだいへの支援に対する認識を高め、支援を提供することができます。 ・SibWise(親、きょうだいに関わる支援者向け)SibWiseのオンライン学習プログラムは、きょうだいのニーズや課題をよりよく理解し、対応することを支援します。このコースでは、兄弟姉妹をより良くサポートするために必要なツールを提供します。様々なシナリオ、ビデオコンテンツ、多くのヒントやツールを通して、保護者や専門家はきょうだい児によくある課題、メンタルヘルスのニーズに応える行動、今すぐできる小さな行動などを学ぶことができます。コースを通して、親と専門家の両方の視点を見ることができます。各グループの戦略案を見ることは、親と専門家が一緒に働くことをサポートするために有益だと考えています。 ・one-on-one support(親または大人のきょうだい向け)経験豊富な シブリング・オーストラリアのスタッフが、個々の状況に合わせて相談支援を行います。 そのほかにも、年間を通して様々なトピックを取り上げてウェビナーを開催しています。 詳細については、シブリング・オーストラリアのサイトをご覧ください。
イギリス
Sibs
シブズ(Sibs)は、障がいのある兄弟姉妹を持つ子どもや大人を支援する団体で、Monica McCaffreyさんが2001年に設立しました。子どものきょうだい、大人のきょうだい、両親、専門家のために情報提供、サポート、およびトレーニングを実施しています。 ・子どものきょうだいのための支援7歳〜17歳までの、障がいのある子どものきょうだいを対象としたオンライン情報サービスです。子どものきょうだいをサポートするのを助けるために、専門家を養成したり、学校のスタッフをトレーニングしたり、きょうだいの支援に関する親や専門家向けの情報を提供しています。特に、Siblings in School Project が特徴的で、Sibs Talkを含む学校との連携に力を入れています。 ★Sibs Talk とは?学校のスタッフがきょうだいに使用する1対1のサポート介入です。きょうだいの幸福と学習への影響を改善することを目的としています。活動の小冊子にはきょうだいがスタッフと一緒に取り組むための短い10個のセッションが掲載されています。多くの学校には、きょうだいの経験が原因で学校生活に問題を抱えている生徒がいます。 Sibs Talk は、きょうだいが学校と相談し、学校がこれらのきょうだいをサポートできるように特別に作成されています。 Sibs Talk は、2017/18 年にイングランド中の小学校で試験的に実施されており、Warwick大学はSibs Talkが参加した生徒に肯定的な結果をもたらしたことを発表しました。 ・大人のきょうだいのための支援きょうだいのためのピアサポートグループのネットワークを運営しています。また、障がいを持つ兄弟姉妹のための将来の計画やケアの管理などの問題に関するガイドを作成したり、きょうだい向けのワークショップやイベントを開催したりしています。 詳細については、シブズのサイト、滝島真優さんの論文「イギリスにおける学校と支援組織との連携による慢性疾患や障害のある子どものきょうだい支援の実際」をご覧ください。
フィンランド
Erityinen Sisaruus
慢性疾患や障がいのある子どものきょうだいに関する情報を提供しているウェブサイトです。きょうだいに近い人や家族と関わる専門家を対象にしています。 インタビューを通して収集したきょうだいの経験や両親の経験を紹介しています。また、このサイトは家族や専門家向けに、年齢や状況の異なるきょうだいにどのように対応すればよいのかのヒントなども継続的に掲載されています。 このウェブサイトはRinnekot財団の慈善活動の一環である「スペシャルシブリングプロジェクト」の助成によって作成されました。また、このプロジェクトは、フィンランド社会基金庁の助成を受け、発達障害者支援協会、Sylva、TATUと協力し、2015年〜2017年にかけて実施されました。 現在は、特別なニーズを持つ子どものきょうだい支援のためのガイドや、きょうだい関係における多様な役割を見直すためのロールマップなど、きょうだいに関する様々な資料が掲載されています。 子どものきょうだいのためのイベントや、大人のきょうだいのためのオンライン講座シリーズ、家族支援を行う専門家向けにきょうだい支援に関するオンライントレーニングにも携わっています。 詳細については、サイトをご覧ください。
アメリカ
全世界
Siblings with a Mission
2015年にNathanさんによって設立されたオンラインの国際組織です。アメリカを中心に、様々な国のメンバーが運営に関わっています。主に、以下の活動を行っています。 ・他のきょうだいの体験談を読むことができるオンラインストーリーコラム・兄弟姉妹の障がいについて学び、啓蒙活動を行う啓発コラム・きょうだいや家族が他の組織や資源と繋がることができるリソースセンター・同じような経験を持つきょうだいと交流できるビデオチャット・きょうだいが質問を投稿し、サポートを受けることのできるfacebookとフォーラム・スペシャルニーズの認知を広めるための情報記事・きょうだいや家族が、同じような経験を持つ仲間と出会い、専門家とつながり、質問し、サポートを受けられるワークショップなどの運営 詳細については、サイトをご覧ください。
インド
SAARTHI Sibling Support Network
2019年に発足した障がいや病気のある子どものきょうだいを支援している団体です。 SAARTHIシブリングサポートネットワークでは、きょうだい達が直面してきたさまざまな課題についてコミュニティで共有しています。YouTubeでは、各テーマごとにきょうだいとしての経験や対談の様子が共有されています。(ほとんどが英語)また、Baatein Karo!というポッドキャストでは、主に親との関係についてのエピソードが更新されています。 詳細については、各SNSをご覧ください。InstagramFacebookYouTube